アルコール健康障害対策を目的とした健康診断/保健指導、医療連携、地域連携に関する、ガイドライン3種類を含めた報告書を公表
URL https://rdcli.md.tsukuba.ac.jp/resource/
筑波大学健幸ライフスタイル開発研究センター(センター長:吉本尚、以下「当センター」)は、厚生労働省事業の成果として、ガイドライン3種類を含む研究報告書を公表いたします。
今回、当センターが令和5年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業の成果として公開するガイドラインは、以下の3種類です。全て、当センター長の吉本尚が研究代表者として総括いたしました。
●「健康診断および保健指導におけるアルコール健康障害への早期介入に関するガイドライン」
●「医療機関でのアルコール健康障害への早期介入と専門医療機関との円滑な連携に関するガイドライン」
●「地域におけるアルコール関連問題への対応と医療との円滑な連携に関するガイドライン」
これらの内容は、アルコール健康障害対策基本計画に定めた健康診断や保健指導、医療の充実等に貢献するための内容となっています。
当センターではこれまで、世界初のノンアルコール飲料提供による減酒効果を明らかにし、さらに大学病院では日本初の「アルコール低減外来」の設置などに取り組んでいます。当センター長は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の検討委員も担当しました。
日本で過剰な飲酒を行っている方は、厚労省の調査にて1,000万人ほどと推定されており、アルコール依存症や各種がんをはじめ、肝疾患、膵臓疾患、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病、認知症、うつ病、交通事故、怪我、不妊、流産などのリスクにもつながり、健康に大きな影響を与えています。こういった背景を元に、国や都道府県はアルコール健康障害対策基本計画を策定し、アルコール健康障害の発生予防や進行抑制の対策を行っています。
今回のガイドラインの主な対象となる特定健康診査の受診数は約3,000万人(令和3年度の特定健診・特定保健指導実施状況、厚生労働省)、1日の医療機関利用者は入院約120万人、外来約700万(令和2年患者調査、厚生労働省)と推定されており、多くの方へ影響を与えるガイドラインになることが推測されます。
お酒は、その伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害等につながります。令和6年2月に公開された「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、飲酒のリスクを理解した上でそれぞれの状況に応じて適切な飲酒量・飲酒行動を判断するよう国民に対して直接周知しました。
今回の3種類のガイドラインは、前述の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の他、令和6年4月から開始された「第4期特定健康診査・特定保健指導」や、疾病、傷害及び死因の統計分類第11版(ICD-11)に基づく内容となっており、健康の維持増進や疾病の早期発見、早期介入に関わる支援者を介して、適切な最新の情報が国民全体に周知されていくこととなります。
人がお酒とうまく付き合い、健康で幸福な生活が過ごせるようにするため、地球規模課題であるアルコール健康障害の解決策の立案にこれからも取り組んでまいります。